ニューヨーク・ワクチン接種物語6 年表編1

新型コロナウイルスのワクチンを打つまでの話を6回に渡ってしてきた。

前回までの話はこちら。

1話目

2話目

3話目

4話目

5話目

 

この1年、主にニューヨーク州/市のできごとを追いかけながら、何が公に起きていたかを振り返りたいと思う。ところどころ私の当時のブログの記事のリンクを加えます。

 

2020年

 

1月6日。WHOが武漢で確認された肺炎「新型ウイルスの可能性を否定できない」と公表。出国のバタバタで、まったくニュースを見ておらず、私は肺炎の存在を知らなかった。

 

1月10日。中国、武漢において肺炎の男性(61歳)が死亡。死者は初めてか。

 

1月13日。WHO、新型コロナウイルスを確認。

 

1月14日。ワタクシ、羽田空港からのフライトにてニューヨークに渡航。無事入国。

1月21日と22日。婚姻証明取得。

ブログ:結婚証明の取得と名字の話(1)

ブログ:結婚証明の取得と名字の話(2)

 

2月2日。乗客の感染が確認されたクルーズ船、横浜に入港。

2月5日。まだ慣れぬ生活の中、身分証明の申請や、ビザ関連の申請に追われる。

ブログ:ソーシャルセキュリティーナンバーを取りに行った話

 

2月12日。日本国内で初の感染者死亡。神奈川県の80代女性。

2月20日。WHOが、新型コロナウイルスをCOVID-19と名付ける。

 

3月1日。ニューヨーク州で初めてのコロナ患者の発見。

3月5日。私、超絶ビビってる。

ブログ:コロナウイルスがNYにもきた(薬局に消毒液を買いに行った話

 

3月7日。クオモ州知事が緊急事態宣言を発令。

3月8日。混み合ったバスや地下鉄を避けるガイドラインの発表。

 

3月10日。WHOが「パンデミックといえる」と公表。日本ではトイレットペーパーが店頭からなくなる騒ぎはこの頃。

 

3月12日。500人以上のイベントは中止か延期命令。ブロードウェイ閉鎖。

3月13日。トランプ大統領(当時)が国家緊急事態宣言を発令。

3月14日。ニューヨーク州で初めてのコロナによる死者2名を確認。

3月15日。CDCが50人以上の集まりをしないように勧告。

3月16日。ニューヨーク市の公立学校閉鎖。

3月17日。ニューヨーク市内のレストランやバーのデリバリー以外の営業を閉鎖。

3月22日。ニューヨーク州のポーズ(Pause/一時停止)・プログラム開始。エッセンシャルワーカーを除くすべての人たちは家にいるよう命令。

3月27日。米国が全世界で感染者数第一位に。

3月31日。米国内において新型コロナウイルスによる死亡者数が1,000名を超える。

 

3月31日。日本政府の「自粛」の曖昧さに怒りを覚え、ペンシルベニア州のステイホームに関する指標を翻訳する。

ブログ:自粛の曖昧さを乗り越えるために

 

4月5日。ハーレム在住の日本人シングルマザーがどえらいテンションで「まじで危ないから!」と警告しまくるVlogがバズる。この動画に対してのブログ。

ブログ:NYコロナ事情アップデート(陽光さんとシングルマザー編)

 

4月6日。クオモ州知事によるニューヨーク州ステイ・アット・ホーム命令と、学校閉鎖を4月29日まで延期。

4月10日。ニューヨーク州の感染者数が世界第1位に(全米との比較を除く)。

4月15日。クオモ州知事による公共スペースでのマスク着用命令。

4月16日。クオモ州知事によるニューヨーク州ステイ・アット・ホーム命令と、学校閉鎖を5月15日まで延期。

           

4月26日。日本のツイッターでもバズった「手を洗え、顔をさわるな」のデイヴィッド医師の動画を、聞き取り&翻訳しました。合計1時間!!!今では古くなっている情報もありますね。

ブログ:潜伏期間、免疫、コロナのあれこれ翻訳しました

           

4月27日。下北沢の気流舎とつないで「ごんちゃんのニューヨーク便り」というイベントを実施。喋りすぎました。もっと交流に重きを置けばよかった!

 

4月30日。ニューヨーク市の地下鉄を午前1時から午前5時まで閉鎖することをクオも州知事が発表。(今までは24時間営業だった。構内や車両の消毒など衛生管理のため)

 

4月31日。安倍首相(当時)が、各家庭にマスク2枚配布の方針発表。今振り返ってもバカすぎる。

 

ひとまず、4月31日まで。次回は5月から9月を振り返ります。 

 

 

ニューヨーク州と市にかかる新型コロナウイルス関連の動きは、こちらのサイトを参照しました。

www.investopedia.com

 

日本の動きとWHOや世界の動きはNHKのサイトを参照しました。

www3.nhk.or.jp

 

 

(46日目/1時間20分/1853文字)

 

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感慨深く、再び春。近所の桜がきれい。

 

ニューヨーク・ワクチン接種物語5

ワクチンを打ちました。ようやくようやく…!

ここまでのお話はこちらから。

1話目

2話目

3話目

4話目

 

待機ブースで改めて会場を観察する。横に長い長方形の床張りのホールで、長辺の真ん中に大きな舞台があり紅い幕が下がっている。反対側上方にはPAブースの小窓があり、天井には本格的な照明が下がっていた。市民オーケストラでもやるんだろうか。

きょろきょろしていると15分はあっという間に過ぎ、スタッフが椅子までやってきて体調確認をしてくれた。体調は良かった。

 

終わった!

ジョンソン・エンド・ジョンソンは1回で接種が終わるので、これで本当に終わりだ。

辛く、抑圧された2020年を思い出そうとしたが思い出せなかったが、気持ちは晴れやかだった。

 

会場の外へ出る。

入口付近に、予約ブースがあるのを確認した。インターネットが不得手な近所の人には便利かもしれない。

 

パートナーとハイタッチする。

「これで死ななくてすむね!」

ニューヨークを生き延びたんだなあと嬉しくなった。幸運なことだ。

 

ワクチンを摂取したからといって、新型コロナウイルスや変異株にかからなくなるわけではない。死んだり、重症化しなくなるだけだ。ここを勘違いしてはいけない。だから、今日からもマスク、手洗い、ソーシャルディスタンスは続けていく。

あと体内に抗体ができるまでに2周間かかる。もうしばらくは今まで通りの警戒も必要だ。

次の行政課題として、突然マスクやソーシャルディスタンスを止めてしまう人たちが増えるため、どう啓発していくかというものがあると聞いた。やはり、マスクなし、ソーシャルディスタンスなしはまだ危険なのだ。

 

来た道を1時間かけて帰宅。

その日の夜から、翌日丸1日中、副作用に苦しんだ。最初は、風邪みたいだなと思っていたら、インフルエンザよりひどいことになった。横になっても息が上がり呼吸が苦しく、発熱し寒くて熱くて体温の調整がきかない、体中が痛い。インフルエンザは体の節々が痛いが、それに加え、腕や足のなんでもないところが、内側から殴られるような、血管が弾け飛ぶような、体内で火花がパッと爆発するような痛みが断続的に続いた。イブプロフェンを飲み、薬がいつも通り効いていたのだろうが、あの痛みは凄まじかった。

ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンは、従来の他のワクチンと同じ技術で、病原体でもって体内に抗体をつくる。あれが新型コロナウイルスの軽症状だとしたら、重症なんてとんでもなく恐ろしいものだ。

 

ワクチンを打って2日目、ようやく普通の体調に戻った。

具体的なワクチン接種レポートはこれで終わり。次の投稿は、この1年ニューヨークに何が起きたのか、行政による判断や政策施行を追いながら、振り返ってみたい。

 

ニューヨーク・ワクチン接種物語6へつづく。

 

(45日目/1時間/1062文字)

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ワクチン接種ブースのテーブル。うわあ~~いっぱいワクチンある!って思った。

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2020年4月17日追記。

元の原稿を書いたのは、4月10日辺りで、情報などが古くなっているなと感じます。このときはまだジョンソン・エンド・ジョンソン血栓のニュースも受け取って無かったしね。ニュースの内容も、4月10日とか12日ころまでは、ワクチン接種/配布状況そのものについてだった。その後くらいからは、ワクチン接種の結果、要するに、副作用や異変株への効き目について、が多くなったように感じています。配布が進んで、接種結果がまた明らかになってきたんだなという印象です。

私とパートナーは、現状、副作用などもなく元気です。心配は心配なのでワクチン関連のニュースはプレッシャーに感じない程度に追いかけています。

 

日本のコロナ対策(基本的に何もせず自粛要請と「危ないよ!」って言うだけ)もワクチン対策も、本当に同じ世界線に存在しているか分からなくなるほどにかけ離れている。だから、日本の友人に向けてブログを書いているつもりだけれど、面白いのかな~~~と思うなど。

 

今思い出しても、あの副作用は凄かった…。日本のニュースでSpO2値が90%でも自宅待機とか見たけど、恐ろしいです。

ニューヨーク・ワクチン接種物語4

ようやくワクチン接種をいたします。佳境~。

ここまでのお話はこちらから。

1話目

2話目

3話目

 

※今回も末尾に追記しました。2021年4月15日(木)付けのニュースの翻訳と、そのリンクです。ワクチンの副作用やそれに関する対応、本日までのワクチン接種後の罹患率とCDCのコメントなどがその内容です。お役に立てると思います。

さて、本文~。

 

ワクチン接種会場は、ブロンクスのコープ・シティ(co-op city/協同組合市)。ハーレム川の大きな橋を歩いて渡り、地下鉄5番線の駅へと向かう。景色が広く、遠くにはミッドタウンも見える。冬の風ももう吹いておらず、気持ちがいい。

最近は、アジア系へのヘイト・クライムが頻発しており恐ろしいので、特に地下鉄の駅の中はパートナーとぴったりひっついて歩く。「私はこの人(白人)と一緒ですよ」と必要以上にアピールする。ここでパートナーの見た目や人種を利用するのは本当に胸糞悪いし納得がいかないのだが、怖いのだ。男だろうが、ベビーカー連れだろうがアジア系の見た目というだけで

殴られるのだ。

ブロンクスへ向かう電車は良い。途中から地上に路線が出る。サウス・ブロンクスの街中を高架から見渡す。おでこに陽の光を感じながら、流れていく町並みをぼんやりと眺め続けていた。

会場への最寄り駅まで快速電車で30分、いやに階段が狭くて急な駅舎を下りてみれば一軒家の2階建てアパートメントばかりの郊外だった。ここから歩いて2~30分。知らない土地。グーグルマップに寸分違わず従った。

 

コープ・シティは名前の通り、協同組合形式により開発された庶民的な雰囲気の高層アパートメントや学校、公園、ショッピングエリアなどを内包された地域を指し、6万人が住むという。リタイヤした高齢者も多いらしい。ゴミも犬の分も落ちてないし、やたら清潔だった。なんといっても、協同組合形式というのが興味深い。もうすこし歴史を調べてみたいと思う。

ちっとも洒落ていない多摩センターや、名古屋の金山駅アスナル金山のような買い物施設の一角にホールがあり、そこが会場だった。予約時間より20分ほど早かったが、予約時に「予約時間の5分前以上に来ないように。待合スペースはありません」と書いてあったので、どこで時間を潰そうかと立ち往生していると、スタッフと思しき人が、「中に行けば打てるよ」と声を掛けてくれたので入っていった。周りにいた人たちも、わらわらと入っていった。

 

各所に防疫ガウンとマスクをしたスタッフが立っていて、案内してくれた。床にも矢印とソーシャルディスタンスのマークが貼ってあり、とても分かりやすい。発話なくても分かると思う。

初めに本人確認と検温のブース。

次に接種ブース。

最後に、待機エリア。容態の変化がないか、調子が悪くならないか、15分座って待ち、経過を観察する。

 

いずれもソーシャルディスタンスが保たれ、順番に案内される。

 

緊張した。「ともかく英語が分からなかったら聞き返すんだ」とだけ心して望んだ。

 

本人確認と検温のブースでは、準備した書類に従って行う。こういう時に生年月日を言うのにとても緊張する。留学時代に覚えた日付、月、年のニュージーランド式順番が染み付いていて、いちいち米国式順番(月、日付、年)に頭の中で置き換えないといけない。自分の生年月日もすらすら言えない怪しいヤツに心の中で変身してしまう。

私が担当してもらったスタッフは雑で、必要書類をほとんど見なかったのですぐ終わってしまった。米国のゆるい感じが出てるなあなんて思っていたのだが、事後、他の人と話すとどうやら稀なケースらしい。みんなしっかり書類確認されていた。

 

いよいよ接種。空きブースに案内されると、担当者が「ナンシーです。ワクチン打てるね!イェーイ!」と小躍りで迎えてくれた。思わず私も小躍りした。ハイタッチは控えた。そっか、こんなにも喜んでいいことなんだよなあと急にしみじみした。現住所などの再確認があって、摂取する腕を選んで、消毒、いつも通り「痛いぞ痛いぞ」と心のなかで自分に言い聞かせて(事前に痛いと思うと実感する痛みが弱くなる気がしていつもしている)、接種。接種証明カードと、自由の女神がデザインされた「#IGotTheShotNYC(ワクチン接種済みです)」缶バッヂをもらった。なんか嬉しかったからジャケットにつけた。

 

待機エリアに案内された。全ての椅子がソーシャルディスタンスを守って等間隔に配されており、番号が振られていた。広いホールの半分ほどがこの待機ブースだった。

指定された席に座る。スタッフに声をかけられ、「あなたは午後1時くらいまで15分ここで待ってね。調子が悪くなったら言ってね。また時間になったら声を掛けるから」と言われる。ほっとしたのでツイッターを開いてちょっとした日常を取り戻した。

 

ニューヨーク・ワクチン接種物語5へつづく。

(44日目/1時間/1783文字)

 

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2021年4月15日追記

CDCによるワクチン接種結果が出てきましたね。ニュース記事のリンクは下に貼ります。この記事の内容をかいつまんで訳しておきます。

 

米国内で、ワクチン接種後にコロナにかかったケースが5,800件報告されていますが、これは4/15日の朝までにワクチンを接種した7,668万1,252人(全米における人口の23%)が母数で、割合としては0.08%です。

ちなみに約1億2,400万人が初回投与を終えているそうです。

 

血栓が確認されたジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンは、その血栓症状は非常に稀なものであるにも関わらず、全米50州にて投与が一時停止されています。

 

全年齢層に渡ってブレイクスルー感染症(投薬された抗真菌薬がその病原菌に対して無効であるために、抗真菌薬を投与しているにも拘わらず真菌感染症が発症すること。)は確認されており、40%強が60代以上であるとのことです。

 

CDCは「ブレイクスルー感染症の割合は低い」としており、また「接種認可の範囲にある人たちは、ワクチンが回ってき次第、できるだけ早く接種するように」とコメントしています。加えて、ワクチン接種が完了した後も、マスク、ソーシャルディスタンス、混雑や換気の悪い場所を避ける、手洗いをよくする、などといった予防対策をするように勧めています。

 

医師・博士のレイノルド氏(ロバート・ウッド・ジョンソン医学大学と、ラトガーズ大学にて医学と肺救急救命医の教鞭を執っている)は、副作用について以下のように言及している。

「ワクチン接種以後42時間から72時間以内に、発熱、悪寒、発汗、体調不良、頭痛などの症状が起きた場合、これは心配する必要ありません。しかし、それ以上に症状が続く場合や、コロナにかかった人や、検査で陽性が出た人と接触した場合は、検査を受けてください。すでに抗体を持っているので、偽陽性が出る可能性がある抗体検査ではなく、PCRテストを受けてください」

 

ざっくり翻訳(9割は訳したかな)はこんな感じです。原文リンクはこちら。

 

people.com

 

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ワクチン接種会場は左へ。ワクチン接種予約を取りたい方は右へ。

 

ニューヨーク・ワクチン接種物語3

 

今日もワクチン接種の話のつづきです。コレより前の話はこちらから。

1話目

2話目

 

新型コロナウイルスのワクチン予約が取れた帰り道、いつも通るニューヨーク市立大学シティカレッジのキャンパス構内を初めて通り、美しい建物を眺める。構内にコロナワクチン接種会場の張り紙があった。ここでもワクチンを摂取できるのだな、ついでにこの美しい建物に入れるのはいい。

家へ到着し遅めの夕飯を摂り一息。義家族とのオンライン電話を少しした後、現代医療の医師をしている友人にパートナーが電話をかけた。何かあるたびにこうやって彼を頼りにしていて、セルフコンサルタント料を支払いたいくらいだ。

彼の答えはこうだった。

 

順番が回ってきたのならば打つべき。自分だったら打つ。いずれにせよ死ぬことはなくなるため。

J&Jの有効率が他社に比べて低いのは、開発における治験時期の差があることも要因としてあり、他社に遅れず同時期に行っていたら結果は分からない。

もし有効率が心配だったら、再度他のワクチンを打ち直してもいい。

自分はジョンソン・エンド・ジョンソン(以下、J&J)のワクチンが打ちたかった。

※(追記あり

 

などなど、他にも科学的根拠を様々に示してもらった。

 

ようやく安心できた。

 

パートナーと私は幸運にも同じブロンクスの会場で20分違いの予約が取れていた。ここにきて初めて、検査などで必要な英語は大丈夫だろうか、会場は遠いらしい、天気はいいだろうか、といったことを心配することができた。

 

改めて明日のワクチン接種会場と行き方を調べた。この日はもう遅かったので、必要書類の準備は当日に見送った。

その日は、最近控えていたカフェインを大量に摂ったせいか(緑茶、烏龍茶、白茶を合計1リットル以上)、朝6時過ぎまで眠れなかった。

 

4月5日朝、ギリギリまで寝ようとした。眠たすぎる。こんな体調で、もし摂取前に血圧検査があったら受からないかもしれない。嫌すぎる。寝不足ネガティブの頭のまま、のそのそとベッドから起き上がった。デスクの上にすでに書類は整えられており、パートナーに感謝して確認作業と、必要そうな英語の復習をした。

役所関係の申請は簡単にインターネット上でできるようになっている米国だが、思いの外手続きや必要書類はこまかかった。

 

予約日当日朝にニューヨーク州ワクチンフォームがEメールで送られてきて、必要事項を記入する。

上記フォーム申請完了のEメールが送られてきてそれを受け取る。

必要書類は、

  1. ニューヨーク州ワクチンフォーム申請完了を示すEメールをプリントアウトしたもの

2.予約確認のEメールをプリントアウトしたもの

3.接種資格の有無を確認できるもの(年齢と現住所)

4.保険証

 

みっつめの接種資格の有無の確認書類が結構手間だった。

まず、生年月日の証明。年齢が30歳以上であると証明できるIDカードなど。私はパスポートを持参した。

次にニューヨーク市に住んでいることや、ニューヨークへの通勤、通学を証明できるもの。ニューヨーク市の市民カードや運転免許証、職員証、今住んでいる市内の住所へ送られてきた手紙、アパートメントの契約書などがこれにあたる。種類によっては2つ以上揃えなければならない。

門前払いが怖かったので、アパートメントの契約書と、手紙と、「私は右の者がニューヨーク市民であることを証明します」と署名捺印の代わりにサインをした声明文のような宣言文のような自由形式の書類。

書類関連の用心深さと用意周到さは、ビザ申請で嫌というほど学んだ。

 

パートナーが12時50分、私が1時10分の予約だったので、11時過ぎには家を出る必要があった。ヘイトクライムと、パスポートを持ち歩く恐怖を感じつつ、好天に感謝し出発した。

ニューヨーク・ワクチン接種物語4へつづく

(43日目/50分/1462文字)

 

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※2021年4月14日追記。

本ブログを書いたのは4月10日です。すでに情報が古くなってきています。
ファイザーのワクチンを摂取した人が異変株にかかったニュースや、他のワクチンよりも異変株に対する効果が低いといったニュースも出てきました。

また、J&Jのワクチンを摂取した人が非常に珍しい血管が詰まる症状が発生したニュースなどが発表されています。伴って、クオモ・ニューヨーク州知事はファイザーとモデルナのワクチンが接種予約と予定されていた接種ペースを満たすだけあること、デ・ブラシオ・ニューヨーク市長は、予約の際にファイザーとモデルナを選んでほしいと発表。

www.nytimes.com

 


また、イベルメクチンという抗寄生虫薬が効果があると、FacebookなどのSNSを中心に情報が拡散しているということを昨日友人から聞いたのですが、WHOがそれを否定する発表をしました。

www.afpbb.com

 

本日付のニューヨーク・タイムズジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンに関するニュース記事。CDCの独立した専門家達がJ&Jのワクチン配布を一時停止するか投票するそうです。

www.nytimes.com



ニューヨーク・ワクチン接種物語2

gonna-dance.hatenablog.com

今日はこちら上の話の続きです~~。2話目!

 

ギリシャ・スタイルのカフェで予約が取れてほっと一息。ティーポットでたっぷりと提供された白茶を飲む。おいしい。ウェイターさんも少し前に接種できたという。

予約が取れたら取れたで不安になってきた。私達に回ってきたのはどのワクチンなのだろう。疑問を口にすると同時に、パートナーが調べ出した。

漠然とファイザーがいいなと思っていた。予防への有効率90パーセントと超えるし、会社名を聞いたことがあるし、義両親もそれだったようだし…と、安心を求める思考は根拠をそこかしこに求め巡った。

結果、ジョンソン・エンド・ジョンソンのものだったと判明する(以下、J&J)。J&Jのワクチンは米国内での有効率75パーセント、その他地域を含めると66パーセント。不安だ。20パーセント以上の開きがある。

 

ファイザーやモデルナ製と違って、従来のワクチンの技術を使っているから長期的に見たら、新技術より安心なのではないか。

J&J製は接種後の死亡例はなく、重症化、入院もない。かかったとしても死なないということではないか。

死ぬ確率が30パーセント以下になるのだったらば、未接種の今より格段に安全ではないか。

 

パートナーと様々に意見を出し合った。

自分たちで判断するには現代医療に関する知識がなさすぎた。

一生懸命に科学的であろうとしつつ、「安心したい」「早く接種したい」「コロナで死にたくない」という感情がせめぎ合っていることは確かだった。

冷静でいるのはとても無理だった。

ふたりとも期待と不安で高揚していた。

東北で原発が爆発した2011年と以降の数年を思い出した。必死で原子力に関する情報を集めていた。東京に住む自分の命がどれくらい危機にさらされているのか、東京を離れなければならないのか、どうしたら安全性を高めつつ暮らせるのか、被爆量が低い食べ物は何か…ともかく知りたかった。にわかに原発原子力に関する知識が増えた。素人なのに、いや、素人だから、知らなかったから。当時は安全かどうか「判断」したくてたまらなかった。他に類するもののない期間だったが、その時に似ていた。

この時の経験から、私はこういう時の自分が冷静ではなく、判断を下すほどの知識もないことを学んでいた。パートナーとの議論も感覚が先走って堂々巡りになりかけていた。

不安なのだ。そして、安心したいのだ。

 

帰り道、ハーレムへと続く坂道を歩きながら、現代医療の医師をやっている友人に聞いて、「ファイザーでも大丈夫」というお墨付きをもらったら、明日接種しに行こうという結論にふたりで達した。

安全そうな道を選び歩いて帰った。日本では必要ない「この道は暗くなったら危ないかも」のカンも育ちつつある。

ニューヨーク・ワクチン接種物語3へつづく

(42日目/50分/1087文字)

 

冒頭のレストランはここです。ブランチもおいしい。

www.elysianfieldscafe.com

ニューヨーク・ワクチン接種物語1

ニューヨーク州では2021年3月29日に行政発表があり、3月30日から30歳以上がコロナワクチンの接種対象となった。以前の情報では、医療従事者や高齢者を優先にワクチン接種をスタートさせ、30歳以上に順番回ってくるのは5月になると言われていた。随分な前倒しだ。追って4月6日には、16歳以上に対象年齢が引き下げられた。

少し遡って3月初旬か中頃だったか、対面授業を受け持つ各種教員へのワクチン接種が始まった。パートナーも職種的に対象となったが、今学期の授業やオフィスアワーはオンラインですべて実施していたので、もっと優先すべき立場の人がいると遠慮していた。

こんな話をしていたのが、もう冬は終わったと、厚手のジャケットのまま外でたむろする人が増えるハーレムの街角が教えてくれていた頃だった。

死を意識せざるを得ないニューヨークで生き、私はパートナーがワクチン接種の権利があると知ると身体の中が広がる思い気がして、気が急いて私は「次学期に備えて打ったらいいじゃない」と提案した。それでも「自分より必要な状況にある人がいるはず」と冷静に考えるパートナーの意見にヒューマニティーを見出し、素晴らしい人だと思った。

このときは、こんなに早く自分たちの順番(30歳以上)が回ってくるとは思いもしなかった。

 

30歳以上を対象にしたワクチン接種が始まって、すぐ行動を起こした友人Aさんは1時間ほど予約サイトをリロードし続け、ようやく予約を取れたという。この話を聞き、もうしばらく後でいいかと思った。彼は友人のなかでも一番厳重にコロナ対策をしていた人だ。

4月4日の日曜日、友人Bさんと1年以上ぶりに再会した。パートナーと私を引き合わせてくれたこの友人は、ニューヨークがロックダウンになったその日に日本から米国に帰国したと言う。友人はワクチン接種を済ませたと言い、久方ぶりに他者とハグで挨拶した。ワクチン接種も再会もハグも嬉しかった。

友人に聞けば、便利なツイッターアカウントがあって、予約空き枠がでるとツイートで通知してくれるのだそうだ。早速登録した。その日の夕方、Bさんと別れ、ギリシャ・スタイルのカフェでパートナーとふたり、外席でお茶をしていると、ツイッターがピロンと鳴った。

ワクチンの通知だ!

ふたりでめちゃくちゃに焦った。早くしないと!チャンスだ!

1時間リロードし続けたAさんの顔が思い浮かぶ。

登録作業!

こういうことは母語でないと途端にハードルがあがる。

英語で個人情報を一通り聞かれる。

ちょっとした英語を読むのに母語の数倍かかることもある。

アレルギーや持病などに関する小難しいことも聞かれたかもしれない。

英語を自力で読むより、パートナーの後をついて解説してもらいながら登録したほうが早いと判断し、そうした。だから、何を登録したか何も覚えていない。

あっという間に、だが体感的には長時間を費やし、翌日の4月5日に予約が取れた。会場はブロンクス。やりました。

ニューヨーク・ワクチン接種物語2へつづく

(41日目/1時間/1204文字)

 

これがワクチン予約に便利なツイッターアカウントです。

twitter.com

 

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友人Bとはコロンビア大学で待ち合わせ。学生たちが日向ぼっこしてるのが大変良い。

 

ハーレム・ネイバーフッド

ある日、近所での買い出しの帰り。アパートメントの入り口で、パートナーは鍵を探していた。荷物を持った状態で少し手間取っていた。

アパートメントの入口前には階段とスロープがあり、人がそこで寒くても暑くてもたむろしている。その日も、アパートメントに黒人男性がいて、紙巻きたばこを作っていた。「お前らそこで何してる?」と鋭い声で言われた。振り向いて「ここに住んでいて、鍵を探していたんです」と伝えると、男性は「なんだ。たばこを巻いていたから、警察かと思ったよ」と言った。

「違いますよ。私達は警察とは真逆の人間ですよ」

警察は嫌いだし、アナキズムが好きなんです、という言葉は飲み込んだ。それはちょっと話しすぎだろう。

そこから彼は破顔一笑ジーンズのジャケットとダメージジーンズに身を包んだ彼は話しだした。

 

ハーレムは良いコミュニティだ。俺はここが好きだ。

―――――住民だろうか。

いつからここに住んでるんだ?

―――――「去年の夏頃です。良い所ですよね」

そうか。俺はあのビルに妹が住んでいて、そこを訪ねて今日はやってきたんだ。

ハーレムの人間はいい人ばかりだ。

みんな、親切で優しい。

―――――「引っ越してきてから本当にそう思いますよ」

ここで上手くやっていく方法を知っているか。

―――――「知らないけど、何だろう」

挨拶して、話しかけるんだ。

そうすりゃ、向こうも話してくる。

そうやってコミュニティに溶け込むんだ。

ここの人間は誰かを拒否したりしないだろう?

―――――「そうですね。本当にそうなんです。実感してます」

―――――英語でさっと言えなかったが、白人街は黒人を拒否し続けてきた歴史があるのにね、と心のなかで思った。

そうなんだ。ここはいい所だ。

俺はここには住んでいないけど、こうやってくると、ホームに帰ってきたなと思うんだ。

安心するし、受け入れられてるって思う。

そう。それでだ。挨拶して、話しかける。

―――――「本当にいい所ですよね。でも私達、とてもシャイでなかなか話せないんです。」

―――――実感としては、ジェントリフィケーションしてきた側にいるであろう私達が、彼らに話しかけて彼らのコミュニティを変態させてしまったらどうしようと思っていたな。でも、一度も拒否されたことは無かったのも確かだ。

シャイなのか。それだと、ちょっとまあ、損してるな。

もっとオープンになるといい。

話してみるといい。そうすりゃ、ここがもっといい所だって分かるよ。

 

巻き終わったたばこを指に挟んだまま、立ち話をした。

 

その後は、彼が仕事でインドへ行って、また米国へ帰ってきた話。

妹さんが住む建物の歴史。

建物は現代的で日本でもありそうなシンプルなデザインの高層マンションで、珍しい概観だったので、大きさ的には似てるけど公共住宅とも違うし何だろう、と疑問に思っていたものだった。割とお金がある黒人層の居住地域をハーレムエリアへ広げるために建てられたのだそうだ。

 

俺はおしゃべりだからさ。話しちゃうんだよな。ははは。

 

―――――「私達、シャイだから話しかけてもらって良かったですよ」

そう言って笑った。

楽しかった。

嬉しかった。

挨拶をしてアパートメントへ入っていった。

彼は、また階段へ腰を下ろした。

たばこを吸っただろうか。妹さんの家へ帰っただろうか。

 

オッサンの話は(自分を守るために)大抵嘘含みだと心のなかで藪睨みしながら聞いてしまう癖、でも同時にそれが彼らにとっての真実だと分かっている思考、これは野宿者運動に関わるなかで染み付いたものだ。私も若かった自分を守るためだったとはいえ、こういう時に悔いる。

もっと素直に喜んでオッサンの話を聞きたかったな。

この癖は、もっと上手に出したりしまったりできるようになろう。

できれば、もうしまっておきたい。

もうちょっとハーレムやここに住む人、働く人と仲良くなりたいと思った。

 

(1502文字/50分/40日目)