ニューヨーク・ワクチン接種物語4

ようやくワクチン接種をいたします。佳境~。

ここまでのお話はこちらから。

1話目

2話目

3話目

 

※今回も末尾に追記しました。2021年4月15日(木)付けのニュースの翻訳と、そのリンクです。ワクチンの副作用やそれに関する対応、本日までのワクチン接種後の罹患率とCDCのコメントなどがその内容です。お役に立てると思います。

さて、本文~。

 

ワクチン接種会場は、ブロンクスのコープ・シティ(co-op city/協同組合市)。ハーレム川の大きな橋を歩いて渡り、地下鉄5番線の駅へと向かう。景色が広く、遠くにはミッドタウンも見える。冬の風ももう吹いておらず、気持ちがいい。

最近は、アジア系へのヘイト・クライムが頻発しており恐ろしいので、特に地下鉄の駅の中はパートナーとぴったりひっついて歩く。「私はこの人(白人)と一緒ですよ」と必要以上にアピールする。ここでパートナーの見た目や人種を利用するのは本当に胸糞悪いし納得がいかないのだが、怖いのだ。男だろうが、ベビーカー連れだろうがアジア系の見た目というだけで

殴られるのだ。

ブロンクスへ向かう電車は良い。途中から地上に路線が出る。サウス・ブロンクスの街中を高架から見渡す。おでこに陽の光を感じながら、流れていく町並みをぼんやりと眺め続けていた。

会場への最寄り駅まで快速電車で30分、いやに階段が狭くて急な駅舎を下りてみれば一軒家の2階建てアパートメントばかりの郊外だった。ここから歩いて2~30分。知らない土地。グーグルマップに寸分違わず従った。

 

コープ・シティは名前の通り、協同組合形式により開発された庶民的な雰囲気の高層アパートメントや学校、公園、ショッピングエリアなどを内包された地域を指し、6万人が住むという。リタイヤした高齢者も多いらしい。ゴミも犬の分も落ちてないし、やたら清潔だった。なんといっても、協同組合形式というのが興味深い。もうすこし歴史を調べてみたいと思う。

ちっとも洒落ていない多摩センターや、名古屋の金山駅アスナル金山のような買い物施設の一角にホールがあり、そこが会場だった。予約時間より20分ほど早かったが、予約時に「予約時間の5分前以上に来ないように。待合スペースはありません」と書いてあったので、どこで時間を潰そうかと立ち往生していると、スタッフと思しき人が、「中に行けば打てるよ」と声を掛けてくれたので入っていった。周りにいた人たちも、わらわらと入っていった。

 

各所に防疫ガウンとマスクをしたスタッフが立っていて、案内してくれた。床にも矢印とソーシャルディスタンスのマークが貼ってあり、とても分かりやすい。発話なくても分かると思う。

初めに本人確認と検温のブース。

次に接種ブース。

最後に、待機エリア。容態の変化がないか、調子が悪くならないか、15分座って待ち、経過を観察する。

 

いずれもソーシャルディスタンスが保たれ、順番に案内される。

 

緊張した。「ともかく英語が分からなかったら聞き返すんだ」とだけ心して望んだ。

 

本人確認と検温のブースでは、準備した書類に従って行う。こういう時に生年月日を言うのにとても緊張する。留学時代に覚えた日付、月、年のニュージーランド式順番が染み付いていて、いちいち米国式順番(月、日付、年)に頭の中で置き換えないといけない。自分の生年月日もすらすら言えない怪しいヤツに心の中で変身してしまう。

私が担当してもらったスタッフは雑で、必要書類をほとんど見なかったのですぐ終わってしまった。米国のゆるい感じが出てるなあなんて思っていたのだが、事後、他の人と話すとどうやら稀なケースらしい。みんなしっかり書類確認されていた。

 

いよいよ接種。空きブースに案内されると、担当者が「ナンシーです。ワクチン打てるね!イェーイ!」と小躍りで迎えてくれた。思わず私も小躍りした。ハイタッチは控えた。そっか、こんなにも喜んでいいことなんだよなあと急にしみじみした。現住所などの再確認があって、摂取する腕を選んで、消毒、いつも通り「痛いぞ痛いぞ」と心のなかで自分に言い聞かせて(事前に痛いと思うと実感する痛みが弱くなる気がしていつもしている)、接種。接種証明カードと、自由の女神がデザインされた「#IGotTheShotNYC(ワクチン接種済みです)」缶バッヂをもらった。なんか嬉しかったからジャケットにつけた。

 

待機エリアに案内された。全ての椅子がソーシャルディスタンスを守って等間隔に配されており、番号が振られていた。広いホールの半分ほどがこの待機ブースだった。

指定された席に座る。スタッフに声をかけられ、「あなたは午後1時くらいまで15分ここで待ってね。調子が悪くなったら言ってね。また時間になったら声を掛けるから」と言われる。ほっとしたのでツイッターを開いてちょっとした日常を取り戻した。

 

ニューヨーク・ワクチン接種物語5へつづく。

(44日目/1時間/1783文字)

 

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2021年4月15日追記

CDCによるワクチン接種結果が出てきましたね。ニュース記事のリンクは下に貼ります。この記事の内容をかいつまんで訳しておきます。

 

米国内で、ワクチン接種後にコロナにかかったケースが5,800件報告されていますが、これは4/15日の朝までにワクチンを接種した7,668万1,252人(全米における人口の23%)が母数で、割合としては0.08%です。

ちなみに約1億2,400万人が初回投与を終えているそうです。

 

血栓が確認されたジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンは、その血栓症状は非常に稀なものであるにも関わらず、全米50州にて投与が一時停止されています。

 

全年齢層に渡ってブレイクスルー感染症(投薬された抗真菌薬がその病原菌に対して無効であるために、抗真菌薬を投与しているにも拘わらず真菌感染症が発症すること。)は確認されており、40%強が60代以上であるとのことです。

 

CDCは「ブレイクスルー感染症の割合は低い」としており、また「接種認可の範囲にある人たちは、ワクチンが回ってき次第、できるだけ早く接種するように」とコメントしています。加えて、ワクチン接種が完了した後も、マスク、ソーシャルディスタンス、混雑や換気の悪い場所を避ける、手洗いをよくする、などといった予防対策をするように勧めています。

 

医師・博士のレイノルド氏(ロバート・ウッド・ジョンソン医学大学と、ラトガーズ大学にて医学と肺救急救命医の教鞭を執っている)は、副作用について以下のように言及している。

「ワクチン接種以後42時間から72時間以内に、発熱、悪寒、発汗、体調不良、頭痛などの症状が起きた場合、これは心配する必要ありません。しかし、それ以上に症状が続く場合や、コロナにかかった人や、検査で陽性が出た人と接触した場合は、検査を受けてください。すでに抗体を持っているので、偽陽性が出る可能性がある抗体検査ではなく、PCRテストを受けてください」

 

ざっくり翻訳(9割は訳したかな)はこんな感じです。原文リンクはこちら。

 

people.com

 

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ワクチン接種会場は左へ。ワクチン接種予約を取りたい方は右へ。