歌が聞こえるような

私が住んでいる所は地域的にはハーレムと呼ばれる。

周りには、沢山のコミュニティや暮らしが路上や店先に存在する。

 

アパートメントの隣の教会では、日曜11時からミサがある。情熱的な説教が聞こえる。木曜日にはパントリーが行われているようだ。朝から行列ができる。

コインランドリーの隣の教会は土曜日がパントリー。酔っ払いのおばあちゃんも来る。

10ブロックくらい行った所の教会もパントリーをやってる。ここは食材だけでなくて、でかいアルミ製の入れ物にぎっしり詰まった手作りの料理も配ってる。

コインランドリーの斜向いの生ジュースの店の前は、いつも人が溢れてる。レゲエなんかがかかってて、小さなカップで何かを飲んでる。

その向こうの公園横で毎週土曜に行われていたファーマーズ・マーケットは12月から春まで休み。代わりに、出店者の一部が土曜日に屋内でマーケットを開いている。

路肩で自動車修理をする人。電源はコードを木伝いに渡して、近くのアパートメントの2階から取ってる。よく見ると毎週車が違うので、商売なのかもしれない。電源元の部屋に住んでるんだろうか。

インド料理屋の隣のデリの前は、全員スニーカーがピカピカの若者たちがいつもいる。

週末バイクで暴走するある人はこのスニーカーキッズ達と仲が良いみたい。

自転車で集団暴走する大人と子ども。

階下のデリは、ひっきりなしに人が来る。おじさんはみんなの名前や顔を覚えてる。

シーシャバーのカラオケデーは、アース・ウィンド・アンド・ファイアーが好きな人とビヨンセが好きな人がいつもいるようだ。

ろうそくとちいさなボロボロの聖書、または花がそっと捧げられているアパートメント横の祭壇。新しいろうそくはピンク色だった。

ハーレム川横の公園のチェス机には、いつでも人が対局している。机に置かれた少しの1ドル札。

ダンキンドーナツの横には、いつも扉を明けてくれる野宿者と彼の犬が座っている。店の人も彼を受け入れている。

 

今は寒いから少ないが、路上でだべっている人たちの小さな集まりはもっとある。椅子、バーベキューピット、クーラーボックス、スピーカー。

 

外側から見ていると何がどうなってコミュニティが成立しているのか分からない。

でもなんかいいなと思って眺めている。

歌が聞こえるようだと思う。

 

(936文字/30分/24日目)