手紙/関係性の実験
インターネット上で文字を使って連絡を取り合う手段を改めて数えてみた。メッセージアプリをみっつ、SNSのDM機能をふたつ、メールアドレスがひとつ、SMSがひとつ。合計7つも日々使っていることになる。
メッセージアプリかSNSのDM機能でコミュニケーションするのが、今、最も一般的だろうという認識がある。これらのツールの多くはメッセージの送受信に即時性がある。そしてチャットツールと呼ばれたりする。チャット、即ち、おしゃべり。送受信の間隔が縮まり、文字で書かれたメッセージを会話のキャッチボールのように行き来させることも可能だ。
この即時性と会話性が便利で重宝されるのだろう。
ただ、すぐ確認しないといけない、返さないといけないという思いになりやすい。特に心身が疲れているときはシームレスで便利なツールでのやり取りが簡単に重荷になる。
去年からふたりの友達と文通している。主にはEメールで、時々、エアメール(国際郵便)で。オンラインの送受信が主ではあるが、文通・手紙のやり取りと定義すると、送受信の感覚が変わってくる。受け取った後は、勢いで書いて送ったり、ゆっくりと考えたり調べてから返信を書いたりする。下書きを寝かせたりもする。既読無視だ、返信が遅いだのとヤキモキすることも無い。内容もメッセージアプリでは話せないような詳細なことや、難解なことも増える。
人はツールで出す面やコミュニケーションが変わるのだと思う。ツールに順応する。
今年は手紙をはじめた。
距離の取り方が全く分からない(本当に分からない)両親との連絡手段として導入してみる。
便箋ではなくカードを使う。米国のカード文化を便利に使ってみる。カードにはメッセージが書かれている。そのまま送っても基本的なことはカード自体が代弁してくれる。もちろん一言添えてもいいし、余白が沢山あるカードを使えば沢山書くこともできる。
手紙は、メッセージアプリとは違って、会話にはならない。私が伝えたいことがそのまま書かれる。言いっぱなし。基本的にひとり語りであるのが良い。
さらに、届くまでに時間がかかる。米国内なら数日、日本へは1から2週間。即時返答が不要な内容であるならば、この時差もありがたい。相手からの返信に怯えたり、プレッシャーを感じなくていい。
今日早速1通出した。
関係性の実験をはじめた、ということです。
(951文字/50分/23日目)