イレズミの研究始めました

最近、誰に頼まれたわけでもないし、大学や研究機関に所属しているわけでもないのに、研究作業をしている。ここのところブログをあまり上げていなかったのは、これをしているから。

それがもう面白くて楽しくて。

テーマは日本のイレズミについてで、主に近代のことを調べている。

 

勉強や読書はずっと続けていたけれど、研究と勉強は違う。大学院生時代が辛すぎて、「勉強は好きだけど研究は別物。辛すぎる。もう絶対やらない」と思い続けてきたけど、読書の積み重ねや、友人との対話によって、自然に研究作業を始めていた。

 

設定した軽い仮説(疑問)をもとに、論文や本を探して読む。幸いパートナーが大学教員なので、論文や雑誌を読める専門のシステムへのアクセス権がある。それをこそっと使わせてもらっている。これが本当にありがたい。拝める。

細々とした仮説と学びを行ったり来たりしながら、少しずつ進んでいる。学生時代もこんなふうに楽しめたら良かったなあ。

 

イレズミをテーマに調べているのは、駆け出しタトゥー・アーティストの友人が「日本特有の美って何なんすかね?近代文学のいい本知ってますか?」と連絡してきたことがきっかけ。左派思考で国民国家に疑問を持つ彼が「日本の特有の美」とか言い出すから、とても驚いてふんふんと話を聞いたのだった。対話の中から彼の疑問が明確になり、わたしもそれに乗るかたちでよっしゃ!調べたろ!と火がついた。

「近代に和彫(の図柄やスタイル)が発達しなかったのはなぜか」

というのが彼の疑問であり、私の(初めの/大枠の)疑問でもある。彼曰く、日本のイレズミというと、図柄やスタイルが江戸末期まで一気に遡り、そこから発展が無いという。韓国やヨーロッパ、台湾など他国のイレズミは発展し続けているのに、日本はなぜ?と。

イレズミは好きなだけで、調べたり読んだりはほとんどしてこなかったので、ほぼ何も知らないところからのスタート。ひとまず、現代の主たる和彫りのスタイルが完成したと言われる江戸末期から明治時代のことについて調べている。

 

気分はもう、多々良勝五郎(※)なのです。ヒヒッ。

(※京極夏彦の小説「京極堂シリーズ」の登場人物。大陸の化け物を研究している在野の民俗学者、妖怪研究家)

 

(920文字/30分/37日目)

 

 イレズミ先生こと、山本芳美先生の本も読みます。

新書816イレズミと日本人 (平凡社新書)

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