ニューヨーク/2020年を生き延びて400年

ニューヨーク市立博物館へ行ってきた。

 

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ニューヨーク市立博物館。コンパクトでいい。

 

ニューヨークという生きた街の歴史や今が紹介される博物館。多様な視点からニューヨークを見せてくれて、見応えがある。規模はさほどではないので丁度いい。

現在の展示は7つ同時に開催されており、展示室やひとつにつき、1展示という形式。

特に楽しみにしていたのは、このふたつ。

 

New York Responds: First Six Month

2020年、ニューヨークと、ニューヨーカーがコロナのパンデミックと、BLM運動にどう応えたか、何が起きたか、どう力を合せ、生き延びたか。今、まさに起きている歴史を紹介する。

 

Activist New York

17世紀から現在まで400年間にニューヨークで起きた社会運動を当時のポスターや、フライヤー、バッジなども展示しながら、主に14つの運動を紹介する。

 

New York Responds: First Six Month

忘れてたたくさんのことを思い出した。パンデミックと同時期に起きたBML。死ぬかもしれないという恐怖と無意識の極度緊張。死と悲しみと怒りに囲まれていた。

窓さえ開けられなかった。

次々に近所の学生が地元や自国へと帰っていった。

がらんどうのような街。

外に行くと死ぬかもしれないと身体がこわばった。

毎晩7時にフライパンや鍋を鳴らして、もしくは拍手してエッセンシャルワーカーに感謝を伝えたこと。

延々と伸びるスーパー外の行列。

どこまでも途切れないBMLのクリティカル・マス。

夜中まで鳴り響く威嚇する都市の音。

辛い記憶を思い返すことで、今はその渦中から少し脱出していることを確認し、心の中が落ち着いていくのを感じた。

3.11、東日本大震災津波の記憶を展示し続ける気仙沼のリアス・アーク美術館を思い出した。

  

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ジョージ・フロイド氏の肖像。薄いダンボールに描かれていて、それが、社会運動や市民を象徴しているようだった。

 

Activist New York

博物館で社会運動の歴史が、「人びとが変革を起こした、社会にとって必要で重要なこと」という視点に立って展示されるということそのものに感銘を受けた。奴隷解放運動、禁酒法反対運動、縫製労働者運動、公民権運動、トランスジェンダーの運動、反戦運動ウーマンリブ反核運動…などなど14もの運動が紹介されていた。

日本の社会の授業で習うようなものから、自分でフェミニズムジェンダー問題を学ぶなかで触れてきたもの、そして全く知らなかったものまで。

展示は解説や年表がキーになっていたが、ちゃんと読めなかったのは悔やまれる。同名の本も写真たっぷりで販売されているので欲しい。

  

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1セクションはこんな感じでまとまっている。これは反核運動

 

他のものを含め展示を全て見て、「この街好きだなあ」と改めて思った。1年強暮らして、少しだけ、愛着が湧いていることを実感した。もっと知りたいし、楽しみたい。

 

帰りにデリにより、パニーニを買った。セントラルパークで食べた。

新芽が吹き、鳥のさえずりが聞こえる。もう温かい。

ピクニックする人、犬や子どもと散歩する人。釣りする人。鳥の写真を取る人。

人種はさまざま。ジェンダーは目に見えない。

ああ、みんな生き延びたんだな。

今日もまた歴史の一部。

嬉しくなった。

 

 

(1154文字/40分/38日目)

※ちなみに冬の間は、鳥は地鳴きしかしない。春になるとさえずりという鳴き方をするのです。

 

ニューヨーク市立博物館のウェブサイト

www.mcny.org

 

アクティビスト・ニューヨークの本はこちら。フルカラー写真集+解説。英語があまり得意じゃなくても写真集としても楽しめます。

www.bookculture.com

 

気仙沼のリアスアーク美術館。津波と災害の常設展がものすごい。何度見ても静かな圧がある。足元から埋められるような。

rias-ark.sakura.ne.jp