米国では、野球やバスケットを群で抜いてアメリカンフットボールは不動の人気スポーツだ。プロリーグのNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)は真冬にシーズン戦の最高潮を迎える。王座決定戦となる試合はスーパーボウルと呼ばれ中継もあり、お茶の間の人気番組だ。
私も年に一度のスーパーボウルの日を楽しみにしている。試合よりも、Puppy Bowl(パピー・ボウル)と呼ばれる前座番組と、間に流れるコマーシャルなどを楽しみにしている。スーパーボウルの日はピザの出前を取って、コーラでも飲みながらというのが定番だと思うが、私は前日に屋台で新鮮な果物を何種類かを買ってきて備えた。当日は朝から時計を気にして過ごした。
パピー・ボウルは、シーズン最終戦であるスーパーボウルの前座として、合計4時間にも渡る番組。内容は、アメフトコートを模した屋内プレイグラウンドのセットで、子犬たちが遊び回る(プレイする)のを、アメフト中継になぞらえて解説したり、登場する子犬の紹介したりする。それだけなのだが、動物を見るのが大好きなのでとても楽しみにしている。日本では犬派猫派という他愛のない話題のネタがあるが、犬だけではなく、猫も登場する。猫はVIPルームと称されたセットの中でくつろぎながら、パピー・ボウルがプレイされるのを観戦しているという体で登場する。VIPルームというのがなんとも猫らしい。
登場する犬たちは、全員がシェルター出身の保護犬であるのがいい。血統書付きだのなんだのでないのに好感を持っている。そのうちの何匹かまだ保護状態で、実際にウェブサイトから申し込んで、保護者(飼い主)になることもできる。
スーパーボウルの日のCMは特別で、この日にしか見れない。今年のスポンサーは、ペプシ、マツダ、イエローテイル(ワイン)、ドミノピザなど。大御所俳優やタレントもCMに出演する日本とは違い、通常、米国の有名俳優や有名ミュージシャンなどはイメージ戦略等の関係でテレビCMに出演しない。この日のCMだけはスポンサーも金を存分にかけ、有名人たちも出る。資本主義のカタマリっちゃあそうなのだし、そういう思いを全て脇にどけておくのは難しいが、なんにせよ面白い。
開会式やハーフタイムショーが好きな人も多いだろう。
The Weekndなど有名所に混じり、今年はバイデン大統領とファーストレディーのジルさんが中継(録画?)で登場した。一緒に映る彼らの2匹の犬も保護犬で、ホワイトハウスで暮らす初めての保護犬ということだ。親しみが増す。ふたりはエッセンシャルワーカーへの感謝の言葉を述べ、スタジアムにいる人びととともに黙祷の時間を持った。黙祷の時間、スタジアムは明るい声でざわついた。トランプ支持者たちであろうというのがパートナーの推測。私には真っ当と思える謝辞と黙祷さえも受け入れられないのか。壁は厚い。
夜にはスーパーボウルがあり、パピー・ボウルは長いため途中で疲れてしまう。録画してまだたっぷり残りがあるのが今週の楽しみだ。
(1215文字/45分/30日目)