メンタルヘルスとコロナと米国保険の話

米国ではカウンセリングが保険適用になる。日本では満額払わなければならない。

 

米国は、日本でいうところの国民健康保険のような国営の医療保険は存在せず、個人で民間の保険に加入する必要がある。山ほどある中から会社を選んでも一息つけない。値段によって保険でカバーできる内容も千差万別だからだ。医者や、カウンセラーを選ぶのも、自分が加入している保険に対応しているかどうかを調べる必要がある。家から近くても、良さそうな人でも、施設が新しそうでも、保険外であれば満額支払わざるを得ない。

 

ニューヨークでは、1セッションあたり満額で100ドルから250ドル(1万円~2万5000円)、日本では7000円~1万円ほどが相場ではないだろうか。今は、保険適用内で1回30ドルの請求だ。

 

ニューヨークでカウンセラーを選んだときは、サイトで日本語を話せるカウンセラーを探し、さらにその人のウェブサイトや、カウンセラーのネットワークのサイトを読み、対応保険会社や専門を確認する。また、当人のジェンダーを公開しているのも選びやすくなっていい。

いきあたりばったりで通い始めなくてもいいほどの情報が公開されているのはありがたい。

 

パンデミック以来、コロナ関連支援のためにカウンセリングが無料だった(私の保険では10月まで)。とても助かった。無料ならばと通えた人はたくさんいただろう。行政からの支援金があったのかなどはもう少し調べないと分からないが、メンタルヘルスを重要視する姿勢がよく分かる対応だったと思う。

 

私はカウンセリングを良いものだと思っている。鬱など具体的な病気になっていなくても、有意義なものだ。自分の思考の癖が解けたり、今持っている悩みの糸口が見えたり、引きずっている過去の記憶との付き合い方も変えることができる。私はそのように使っているが、他の効果もあるだろう。

 

中学生時代、初めてスクールカウンセラー制度ができた。全校100人にも満たない私の中学にもひとりのカウンセラーが赴任してきた。資料室が週一度カウンセリングルームになり、何度か行った。担任に呼び出され「カウンセリングに行くのは逃げなんじゃないか」と言われた。憤った当時の気持ちを今も覚えている。

日本社会はどのくらい変わっただろうか。もっとメンタルヘルスケアが多くの人にとって身近になるといいなと思う。

 

(951文字/60分29日目)