図書館いろいろの話 ハリポタ的建築からジン図書館まで

ニューヨークに来てから、よく本を読んでいる。

元々、本を読むのが大好きなのだが、時間と心に余裕があって、よく読める。こちらに来てからの2週間は特に、時差ボケも手伝って、よく朝方から本を読むことができた。朝方4時か5時から、パートナーを起こす朝8時まで。至福。

 

ニューヨークに来てからというもの、世界に冠たるニューヨークでお出かけしないのはもったいない、とも思うのだが、元々、そんなに出かけるタチじゃないようで。

自分にとって好きな外出体験は、外食やカフェ、美術館や博物館、ダンスや演劇などの舞台観賞、ギグ、講義やトークなどのイベント、ワークショップなどなどだけれど、そんなにたくさんは必要ない。

 

というわけで、日常的に行くのは、ファーマーズマーケットやデリ(惣菜屋)やスーパー、薬局、たまにカフェ、レストラン。あとは、図書館。おうちから2ブロック行ったところの、コロンビア大学とバーナード大学の共通の図書館利用者カードを作った。カードを作ってからの平日は、ほぼ毎日出没している。

 

日本文学の研究で有名な、故ドナルド・キーン博士が学位を修め、所属していたのもコロンビア大学で、Department of East Asia Languages and Cultures(東アジア言語文化学部と訳すのかな)があります。東アジア専門の図書館もあって、中国語、台湾語、韓国語、日本語の本が山のようにある。

この東アジア専門の図書館に初めて行った日は、不安がドーンと胸にあった日で、自分が根無草のような気分だったので、日本語の本がたくさんあったのが嬉しかった。たまたま通りかかった書架に、見田宗介、栗原康、岸政彦、、、と自分の好きな作家の本が並んでいたのも、なんとなく安心した。生まれて育って、人生のほとんどを生きてきた言語というのは安心するもんですね。新しい感覚。

 

東アジア図書館を含め、このふたつの大学のキャンパスには合計14の図書館がある。

朝と言わず夜と言わず学生がいつも勉強している。この安心感ったらない。それぞれ、パソコン、タブレット、ノート、いろいろな方法で勉強している。ノートに書き進められるのも、数式、アラビア語、中国語、英語、様々だ。全く分からない、だからこそワクワクする。何を勉強しているんだろう。

午前10時も過ぎると、席を探すのが少し大変で、お昼を食べに家に帰り、午後また行くと、更に席を探すのが大変だ。

 

両大学はキャンパスも広く美しく、古い建物も多く、惚れ惚れしてしまう。一番メインの図書館の写真を見てほしい。

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明るめのハリポタ感。

これだから。

本当に、ここにいるだけで嬉しくなって、やりたいことが捗る。捗る。

さらには入り口も美術品である。

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これだから!!本気で。

本当に。現実だし、日常なんだよね。これが。全く。

 

このように古く美しい図書館もあれば、法律学部の図書館はモダニズム建築(多分)、理工学部の図書館は、明るいガラス張りの真新しい建築だったりする。

 

図書館の建物の中に、カフェが併設されていることも多く、飲食しながら勉強できる所もある。カフェにはコーヒーなどの飲み物の他に、クッキー、マフィン、ドーナツなどの甘いものや、リンゴやバナナなどのフルーツ、ヨーグルト、サラダ、サンドイッチ、ポテトチップスやチョコレート、エナジーバーなど充実している。

水飲み場(給水所)もあって、買わなくても飲み物には困らない。新陳代謝にもよるんですが、人間は1日2リットルくらいの水(できればお茶とかコーヒーは含まない)を飲むのが身体に良いんですよね。水を2リットル持ち歩くとか、結構大変だし、この水筒用の給水設備がとても良くて、給水施設は本当にありがたい。そこかしこにあるので便利。この施設からか、水筒を持っている学生の率がとても高い。ペットボトルを持っている人を見つける方が困難で、たいていプラスチックのウォーターボトルを机に置いて勉強している。ゴミに観点を移せば、カフェのテイクアウトのコーヒーカップを持っている人は良く見るけど。

 

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給水施設。ボトルにも注げるし、ここで飲んでも良い。

 

水回りの設備で、ありがたし!と思ったのは、バーナード大学の女性用トイレには、無料のナプキンとタンポンがおいてある。ボタンを押すとガシャン!と昭和な音がして、ひとつずつ出てくる。

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手書きで表示が直してあるゆるさも良い。ボールペンかな。

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必要があったのでいただきました。

 

バーナード大学は、元々女子大。フェミニズムジェンダーの研究に強いと聞く。図書館の中には、フェミニズムジェンダーが特集されたジンのコレクションもある。

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ここがジンコレクション!!

ここから入った一角がジンコレクション。壁一面のジン!どうしても近くで人が映り込んでしまうので、写真がないの。手にとって見ると、図書館の他の本と同じく番号がふられ、順番に並んでいる。書棚に自分で返すのではなく、近くにトレーがあってそこに返すシステム。コレクションの専用司書のお部屋も隣接していて、「誰なの?!ねえ、司書さん誰?!お友達になりたい」という気持ちになる。

春ごろに、ジンフェアもあるとのことで、絶対参加したい。これは俄然ジンを作りたくなってきた。テーマは決めたので、みなさんお楽しみに。日本のみなさん、こっちから送りつけてやる!笑。もらってください。

 

バーナード図書館が素敵なのでもう少し、紹介させて。

 

お金のない学生のために、教科書の貸し出しがある!!先生指定の教科書が何千円するなんてことは結構あることで、何万円というときもある。本当にありがたい。

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教科書の貸し出しコーナー

図書館は4階建てで、各階ごとに「おしゃべり」「ディスカッション」に関わるルールが緩やかにデザインされているのもとても便利だと思った。ルールをざくっと翻訳すると、

1階は、友達とテーブルを囲んで勉強したり話したりしてオッケー。話し合いや交流、オッケー、むしろ推奨。

2階は、グループで勉強するか、ひとりで勉強するか。話し合いオッケー、むしろ推奨。

3階は、基本的にひとりで勉強する所。でも2階より静かになら話してオッケー。周りに配慮してね。

4階は、一番静かに勉強するためにデザインされた場所。話すの我慢してね。もし必要だったら、囁くか小さな声で。

 

段階的に設定されていることで、その日の気分で場所を選べるし、他者にイライラしなくて良い。

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おしゃべりなどに関する方針。書き方も優しい。

日本の図書館だと、ミーティングルームが設置されていたら良い方で、そこ以外では絶対に話してはいけないという所が多いように思う。でも、勉強って、誰かと話しながら進めるシチュエーション多いと思うし、「そろそろご飯食べに行く?」なんていうちょっとした会話はいつでも必要だろう。私はルールが厳しいと、守っていない人に対しても厳しい気持ちになってしまう。「自分も頑張って守っているんだから、守ってほしい」という気持ちになってきて、自警団のように他者に厳しくなってしまう。

こんなふうにルールに厳しい自分は嫌なのだけれど、ルールによって自分の性質が変えられてしまうようだ。

 

静かにしてね、の4階には、ヨガマットやお祈り用の布などが置いてある。

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もちろんこれらが使えるスペースもある。

ここから自由に持っていって、返せる、というシンプルな管理方法。私はお祈りはしないけれど、イスラームの人のようにお祈りの時間が決まってたりする信仰を持っている人にとって、ありがたいよね。ヨガマットはシューズのまま使ってオッケーで、汗をかくようなことも良いよ、と表示がある。

 

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バーナード大学の入り口。クマのエンブレムがかわいい。

 

図書館が、このように充実しているのは本当にありがたい。QOLが本当にあがる。

 

また明日も、明後日も、特段何もない限り、図書館通いが続きそう。(めっちゃ楽しい)