NYコロナ事情レポート ~街と人を観察する

ここ1、2週間、気候が良い。日本にも梅雨前の一瞬こういう時期がある、あの爽やかな気候を想像してほしい。まさにああいう感じ。

湿度が低くて、20℃前後の気温。

気持ちがいいし、気分がいい。

 

コロナ・パンデミックの状況はアジア圏と比べれば、まだまだ厳しいNY市だけれど、街は落ち着きを取り戻してきているように見える。加えてこの素晴らしい気候、散歩したり、公園のベンチでディナーをとったり、アイスクリームを食べたりしている人がいる。

ほぼ全員がマスクやバンダナなどなんらかのかたちでフェイスカバーをしているとはいえ、以前も人は同じくらいいたが、緊張感が減ったなと感じる。STAY HOME 政策下での生活への慣れもあると思う。当たり前がアップデートされた。

 

私は日本生まれ日本育ちだから、マスクをしている人がたくさんいるのに違和感を抱かないほうだろうと思う。米国や欧米文化で生まれ育った人たちはマスクは緊急事態にするものというイメージだから、同じ風景を見ていても感じることは違うだろう。

 

NY州は、再開(reopen)に際して7つの基準を設けている。その基準を満たした地域から、再開を始めている。基準を満たせていないのはNY市だけになった(現在5/7つは満たしてる)。だから基本的には、NY市はエッセンシャルワークのみの経済活動とテレワーク、外出はマスク着用にソーシャルディスタンス厳守なのだが、ちょっとずつ様相が変わってきている。

 

私個人を見ても、2週間に1度の食料品の買い出しだけに限っていた外出が増えた。今は、ほぼ毎日散歩に出ている。

 

今日は、最近眺めている街と人間を少し書いておきたい。

 

レストランやバー、カフェは持ち帰りやデリバリーのみの営業をしている。が、季節がよくなってきたことも相まってか、飲み物のテイクアウトブースを始めたレストランがいくつかある。アルコール類やフレッシュジュース、アイスティー、コーヒーなどのメニューが並ぶ。店ごとに売りがあり、あのイタリアンはワイン、こちらのバーはフローズンマルガリータ、あのバーガー屋はビール、というように、思わずアルコールばかり並べてしまったが、特徴があって面白い。

営業そのものを再開したレストランもある。もちろん持ち帰りとデリバリーのみ、プラス飲み物のテイクアウトブース。

 

私の住む地域は、店といえばそのほとんどがブロードウェイストリートに面した路面店だ。

飲食店の前の歩道には、ソーシャルディスタンスを守るための目安がチョークで店前の地面に書かれ、人々は、店員さんや少人数のグループで話しながら、時間を楽しんでいるのも見える。

 

5月26日はメモリアルデーという祝日だった。この日は、たぶん基本的には、祝日のための祭典を行うために、NY州が10人以下の集まりを許可した。その前日の週末を含む3連休は、公園はレジャーシートや椅子を持ち込み、ピクニックする人が多く見られた。

人が集まっているのを見ると、嬉しい気持ちになる。

NYピザ、トルティーヤやブリトー、アイスクリーム、フローズンヨーグルト、思い思いの食べ物を囲んで、みんな薄着で楽しそうだ。

 

公園はいつでもだいたい、マリファナの甘いいい香りがする。誰か彼か楽しんでいる。

 

公園の入り口では、警察官がマスクを配布している。ちゃんと有色人種にも配ってるだろうか。多分、配ってないだろう。

 

ハドソン川に沿った公園の中に夏場だけオープンするレストランがあるのだが、そこもオープンした。爽やかな雰囲気で、店内で食べれるレストランと、テイクアウトのブースがある。

メニューボードに「アルコールはテイクアウトのみ。公園内での飲酒は法律で禁止されています」と書かれている。ちょっと笑っちゃう。大いなる矛盾に思えてしまう。

なんというか、苦肉のメッセージというか、ギリギリだ。

もともとアルコール類のテイクアウトや路上で酒を飲むことはNYでは法律で禁止されていた。それが、コロナの自宅隔離命令に伴う行政命令で、アルコールのテイクアウトが許可されたから、こんな調子になるんだろう。

店内には生ビールのタップも見える。生ビールを家まで持って帰らないよね。うん。

近くのベンチには、明らかにアルコールを飲んでいる人達もいる。楽しそうだ。

そりゃそうだ。

どうか、夏をエンジョイする人たちが警察に捕まりませんように。警察がこういう小さいことで暴力的で人種差別的な逮捕をするという話はNYの常識なので。

 

さて再び、ブロードウェイストリートに戻る。

 

再開基準を満たしていないから、当然だけど、美容室や、ネイルサロン、銀行窓口などはまだ閉まっている。花屋もまだだ。

 

自家焙煎をしているような小さなカフェも開けているところが少ない。

閉めていたチェーン店は再開したところも多い。スターバックスも開いている。スターバックスは、「フラペチーノを作るために死にたくない」と従業員が抗議しているというニュースも出ていた。そりゃそうだ。当然だ。給料も大事だけど、命のが大事。

 

ファーマーズマーケットは、店数は減っているが開いていてる。お気に入りの卵屋が来ないのは寂しい。歩道の上で行われているので、歩行者スペースを確保したうえで、ソーシャルディスタンスも守れるように路上にチョークで線や印が書かれている。野菜は自分たちで選ぶのではなく、店員さんが取ってくれる。店員さんたちの安全も大事だ。

 

卒業式のシーズンでもある。コロンビア大学の大学カラーの水色のガウンを羽織って着飾った学生たちがちらほらいる。写真だけでも、ということだろうか。パートナーも博士課程終了が近いのだが、Ph.D取得者が身につける特別な帽子がかぶれなかったなと少し残念そうにしていた。私も見たかったし、卒業式も無かったのは残念だ。儀式は大事。

 

野宿者や物乞いには定位置があるのだが、コロナ以前見なかった、物乞いの人がいることがある。地域を巡っているのか、新しい失業者か。悲しくて眉根に縦にシワが入る。

 

人の動きが活発になってきて、街にゴミがソッコーで増えたのも面白かった。もともとNYの路上はゴミが散乱しているのだが、自宅隔離生活中は、路上のゴミが減っていた(きれい、とは言えないけど)。人間ってあかんこといっぱいする生き物だなあと思う。公園に落ちてるゴミもさりげなく増えた。

歩道にも公園にもたくさんゴミ箱は設置されてるんだけどね。

 

こんなところだろうか。

 

祝日の週末で、人が集まっただろうから、コロナ第二波というか、第二次ピークが2週間後に来るんじゃないかという予想もニュースで言われている。引き続き、落ち着いて気をつけていきたいと思う。

 

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ピクニック、いいよねえ。